平塚市内の岡崎地区は竹の産地。昔は垣根や農作業の資材であった竹も、近頃は需要が減少しています。その結果、荒れ放題となった竹林の蘇生をと、里山作りが始まりました。この竹を材料に、市内『竹遊会』の協力を得て竹炭を作成。これに飲食店組合も参入し、ささやかながら、プロジェクトが動いています。
岡崎城址の無量寺へ向かうダラダラ坂に、三筋ほどの煙がたなびいています。その煙のもとにあるのが『岡崎里山の会』の竹炭窯。会員たちは和気あいあいと言葉を交わしながら、手作業に励んでいます。お仕事中、代表の今井昇さんを始め、皆さんにお話を伺ってきました。
そもそもは、荒れている竹林の整備を始めたのがきっかけだったそうですが、その時に、切り出した竹の処分に突き当ったそうです。そこで「七夕の街、平塚に竹の文化を」と組成された竹遊会の協力を得て、県農政部発行の冊子『誰でもできる炭焼き』を参考に、『縦型ドラム缶窯』を作成。初めは不出来だった炭も、試行錯誤の結果、立派な物に仕上がりました。
また、煙突から逆流してくる液体に着目し、採取したものを蒸留すると、効能バツグンの『竹酢液』が出来たそうです。そんな時、平塚市料理飲食業組合連合会(清田会長)から、ラブコ-ルがありました。同連合会は、資源保護を目的に、会内のお店に竹の割り箸使用を広めています。今まで、割り箸の使用後はゴミとして捨てられてきましたが、「箸で炭が出来ないか」と今井さんに相談がありました。はじめは試行錯誤してみたが、細いことが災いし、炭はすぐに折れてしまう。いろいろ試した結果、青竹の筒に詰め込んで焼く方法を考案。今は見事な仕上がりです。これを化粧袋に詰めて組合に返し、更にお店へ。そして、お客様の手元へ届きます。これぞリサイクルの見本のようなお話ですね。
この工房のうわさを聞いて、「ウチの庭の竹を使ってください」とお持ちになる方があるそうですが、肉厚の孟宗竹で、しかも、青竹でないと材料にならないとのことでした。
「この近所の山は、長い間下草刈りをしていません。炭焼きの合間に整備をして、しいたけ作りが出来る山にして、岡崎城址をきれいにしたいです。それには、もっと仲間が欲しいです」とこれからの抱負を語る今井さん。
そして最後に「炭も竹酢液も、自信をもってお勧め出来る高水準の品物です。と言いますのは、メンバーの中に、現役時代はバリバリの化学、設計、機械関連のエンジニアがいて、その腕をいかんなく発揮してくれています。作品の化学分析も私たちでやっています。世の中でリタイヤされた方々の中には、素晴らしい技術をお持ちの方が、沢山おられるでしょう。この会のように、ノウハウを趣味に活かしていただくといいですね。もったいないです」と語ってくれました。
取材の最中、ハイキングで通りかかった女性が、皆さんの話を聞いて、竹炭と竹酢液(織姫)を買って帰られたのが、とても印象的でした。(記/山口)
■取材協力/岡崎里山の会・竹炭工房
■お問い合わせ0463(58)0657今井まで