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黄河の水 天上より来たる〜中国の神秘に魅せられた写真家、斉藤進〜


現在70歳。中国の歴史と自然の壮大さに惹かれ、単身中国に渡りシャッターを切る。この感動を形に残したい。年齢を超えて湧き出る思い。生涯現役を貫く写真家、斉藤進氏に今を生きることの意味を探る
写真を撮り始めたのは50才を過ぎたころから。「親の体が不自由になって、外出ができなくなった。そんな親に近所の風景を見せてあげようというのが写真との出会いでした」。秦野に住まいを置く斉藤さんは、会社の休みを利用しては丹沢に登り、写真を撮り始めました。「ブナを撮り始めたのもその頃からです。季節によってブナはその表情ががらりと変わる。また、1年経つとさらに違う顔を見せる。気が付けば10年、丹沢を撮っていました」と。ちょうどその頃起きたのが今も記憶に蘇る阪神大震災でした。「その時は出張で大阪にいたんです。とにかくものすごい揺れだった。それから被災地へ足を運びました。言葉にできないような惨状でした。そこで自分の人生観が大きく変わったんですよ。生きている間はとにかくベストを尽くそうと。そして、何かを形に残そうと」それを機に、10年間かけて撮った丹沢の写真を写真集として出版。以降写真家としての人生が始まったのです。親に見せたいと始めた写真。60才を過ぎ、丹沢に登るのがつらくなってきたこともあり、会社員時代に出張していた中国に目がいくようになりました。「すべてにおいてスケールが違う。文化も歴史も、そして自然も。これを写真に残そうと決めたんです」。以来約10年の間、中国へ渡っては辺境の写真を撮りまくります。「先日は西宁(せいねい)という所へ行きました。奥チベットです。そこは黄河の源流があるんです。日本から6000キロ、そこへはジープで何日もかけて行くんですよ」と。約1か月にわたる単身渡航。70歳という年齢を疑ってしまうほどのバイタリティ。年に2回中国へ渡り、感動の瞬間を納める斉藤氏。彼はただ写真を撮るだけでなく、現地の人とも積極的に交流します。「現地を撮影していたら、結婚式を挙げている現地の人に遭遇しました。彼らチベット人はとても人がいい。そしてとても純粋です。自給自足の生活で周りは草原だけという生活ですが、不自由は何もないと笑って言うのですよ。人間の幸せとは何だろうと考えさせられる瞬間でしたね」。
 先日2冊目になる、写真集を出版。そしてこれからも足が動く限り中国を撮り続けたいと語る斉藤さん。生涯現役、そして生きている間はベストを尽くす、そんな生き方に感動を抑えずにはいられない取材でした。(記/コロ)
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